人気ブログランキング | 話題のタグを見る

3月1日

いよいよお別れの日が近づき、その準備でそれぞれが過ごした。

私はこれまでに撮った写真を町でプリントし、それをJettyがアルバムに整理、それとはべつにJettyは、通信にも載せる予定の「旅立ちのことば」を書いている。

最後のウノや最後の数学、さいごのさいごの、、、、が続く。

この季節になると毎年、山形県出身の詩人、真壁仁の「峠」を思いだす。
今年は詩人の生誕100年

◇◇「峠」 真壁 仁 ◇◇

峠は決定をしいるところだ。
峠には訣別のためのあかるい憂愁がながれている。
峠路をのぼりつめたものは
のしかかってくる天碧に身をさらし
やがてそれを背にする。
風景はそこで綴じあっているが
ひとつをうしなうことなしに
別個の風景にはいってゆけない。
大きな喪失にたえてのみ
あたらしい世界がひらける。
峠にたつとき
すぎ来しみちはなつかしく
ひらけくるみちはたのしい。
みちはこたえない。
みちはかぎりなくさそうばかりだ。
峠のうえの空はあこがれのようにあまい。
たとえ行手がきまっていても
ひとはそこで
ひとつの世界にわかれねばならぬ。
そのおもいをうずめるため
たびびとはゆっくり小便をしたり
摘みくさをしたり
たばこをくゆらしたりして
見えるかぎりの風景を眼におさめる。
by oguni-folke | 2007-03-01 22:45
<< 是永さん宅へ 宗教を超えて >>