作 大石 沢男
昔むかしあるところに、ほどほどに貧しいと思っている人たちの国がありました。世界中を見わたせば、ほんとうはお金持ちのほうなのに。
ある日ポチがなきました。「ここ掘れワンワン!ここ掘れワンワン」
おじいさんは、そこを掘ると金銀が出てくることは知っていたのですが、掘りませんでした。その下には爆弾も一緒に埋まっていることを知っていたからです。
「お金よりも平和が一番だよねポチ」
おじいさんはポチの頭をやさしくなでました。ポチもうれしそうにしっぽを振りました。
ところが、それを聞いた隣の「よくふかじいさん」は、次の日喜んでそこを掘りました。
やがて金銀がざくざく出てきました。じいさんはまだあるだろうと、もっと掘りました。金銀はますますたくさん出てきました。お金に目がくらんだじいさんは、もっと掘ることにしました。
「カチッ」
やがて、スコップの先が、何かに突き当たりました。次の瞬間!
じいさんも、じいさんの家も吹き飛んでしまいました。楽しかった日々も、美しい庭も。
***
それを見ていたポチが怒って言いました。原発再稼動のことも、集団的自衛権のことも、武器輸出のことも、もっと国民にきちんと、「話さんか、じじい!」そして、もっと考えよう!わたしたち。
おしまい