それでは、にっこうさんのご要望にお答えして、私のどじ顛末記を。
途方にくれている私を見て、ホテルの人が
「釣り人専用の民宿ならあいているかもしれませんから、きいてあげましょう。」
と、あちこち電話をかけてくれたのでした。そのうちの一つからOKの返事。
うれしかったですねえ。
たぶんそれからまたみんなでバスに乗って、北の海を夕闇がすっかり包む頃に、ようやく民宿にたどり着いたのでした。
普通はこれで話は終わるところですが、実はそれからが大変。
その民宿はつり人専用ですから、他のお客さんはみんな釣り人、あたりまえですが、みんな朝が早いのです。ところがこちらはなにせ修学旅行の元気いっぱいの高校生、うるさいだけならまだしも、間違えて釣りの人たちが寝ている部屋にどかどかと何度も入ってしまうんですね。
「ばっきゃろー!」「うるせえーー!」
私は何度その夜怒鳴られたか。何度あやまったか。でも元はといえばみんな私が悪いのですから何度でも頭を下げたのでした。
今でも礼文島というと、その夜のことと、翌朝民宿のおばちゃんが出してくれた玉子焼きの暖かさが不思議に思い出されます。それは決して辛かった思い出ではないのですね。
でも今思えば、そのときの生徒のみなさんには、申し訳ないことをしたなあと思います。
私は今でもとてもそそっかしくてどじなので、フォルケに来るといって結局来れなかったり(これはよくあることです)、日にちを間違えてしまったりする人には、本当に寛大ですからご安心くださいね。