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ヴォーカロイド

 作曲の仕事をする上で、いまやパソコン上で楽譜を作ったり、それを遠く離れた人とやり取りをするのは日常的になっていて、私も毎日のようにパソコン君のお世話になっている。今回の作品集の校正作業も、パソ君のおかげで時間をずいぶん短縮できた。

私のソフトは、楽譜を作ると、ピアノパートはピアノの音色で、歌のパートもそれらしく人の声風の音で再現してくれて、およその感じはわかるのでせいぜい利用しているが、今朝北海道から送られてきた音源にはぶったまげた。

この夏に私の書いた楽譜を、パソくんがしっかりとした「歌詞」で歌ってくれているのだ。それも透明ないい声で。ちょっと聴いたら人間の声だと間違う人もいそうで、7匹のヤギの子たちも、今度ばかりはお母さんの声と間違えるかもしれない。ヴォーカロイドというのだそうで、音楽的ではないが、合唱のパート練習などにはおおいに使えそうだ。

バーチャルシンガー・初音ミクは知っているが、これからは私だけのミクちゃんを簡単に作ることができる時代になるのだろう。しかし、それでも所詮は人工の音、かなり近いものはできても、温かみのある声や、味わいの深い声を出すことは人間にしかできないだろう。ピアノやヴァイオリンだって同じだ。

どこかの政党の代表選びが最終段階になっていて、候補者は大衆の心を捕らえようと必死だが、みんな機械音のような冷たい響きばかりで、本当の温かみと深みのある声は誰からも聞こえてこない。

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午後はコロニーでゆっくりすごした。日常生活だけではなく、今日は音楽療法と書道教室にも参加してみたが、ほとんどしゃべれない人が書を生き生きと書いたり、無表情だった人が音楽によって別人になったりするのを見て、初音ミクではない、ほんもののひとの不思議さを改めて感じた。
by oguni-folke | 2012-09-25 22:52
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